病理診断科 摘出部を診断 詳しく説明
今月、「病理診断科」を掲げる病院が広がり始めた。診療科として掲示すること(標榜(ひょうぼう))を厚生労働省が認めたためだ。「病理診断科」とは、どんなところだろうか。読売新聞より(中島久美子)

茨城県の会社員A子さん(54)は、検診で肺がんが見つかり、一昨年夏、筑波大病院(茨城県つくば市)で手術を受けた。
退院後、主治医の勧めで病理医に面談した。摘出した組織の写真や、顕微鏡でがん細胞の画像を見せてもらい、がんは7ミリと小さく、おとなしい性質であることなどの説明を受けた。「抗がん剤など追加の治療をしなくてもよいと聞き、安心しました」と振り返る。
病理医は、検査や手術で摘出した細胞や組織を、顕微鏡で見て診断する専門家だ。悪性か良性か、がんのタイプや広がりなどを判断する。 この診断に基づき、治療方針がほぼ固まる。肺がんの場合、がんの大きさやリンパ節転移の有無、がんのタイプ(組織型)により、手術や放射線、抗がん剤治療を行うかどうかが決まる。乳がんの場合なら、リンパ節転移など、手術後に薬物治療が必要かどうかの目安となる7要素のうち、六つを病理診断で判定する。
胃がんや肺がん、乳がんは、摘出した組織を手術中に病理医が調べ、悪性か良性か、がんが取り切れているかどうかをすぐに判定する場合がある。がんがまだ残っているなら、さらに広い範囲を切除する一方、取り切れていると判断した場合、追加切除はせず、手術範囲が最小限で済む。 筑波大病理部教授の野口雅之さんは「患者が自分のがん組織を見ながら、診断した医師から詳しい説明を受けることで、病状への理解が深まり、治療方針も納得してもらえる」と話す。同大で病理医の説明を受けた患者全員が「今後も手術をするなら、また説明を受けたい」と答えた。
厚生労働省は「病理診断科を標榜する病院は、患者が希望すれば、病理医が説明できる体制を整えるよう努めてほしい」としている。従来、病理診断の結果は主治医から伝えられるだけだったが、患者に直接、病理医が対応する病院も増えそうだ。
ただ、病理専門医は全国で2000人に満たず、不在の病院も多い。常勤の病理医がいても、「患者へ説明する時間がない」との声もある。まず、通っている病院に病理診断科があるかどうか、受診できるかどうかを聞いてみたい。
東京逓信病院では、病理科部長の田村浩一さんが、他の病院で診療を受けた患者の受診を受け付けており、事前に病理標本を送ってもらったうえで診断、結果を説明する。こうした病理医によるセカンドオピニオン(主治医以外の意見)に応じる施設も増えている。
病理医によるセカンドオピニオン外来のある主な病院 日本医大(東京・文京区)03・5814・6451(医療連携室) ※主に乳腺疾患が対象、ほかは応相談 東京逓信病院(東京・千代田区)(電)03・5214・7728(医療相談室) 国立成育医療センター(東京・世田谷区)(電)03・5494・5486(医療連携室) ※主に小児がん、妊娠・出産に関する疾患(胎盤、流産組織の診断)が対象 国立病院機構・呉医療センター(広島・呉市)(電)0823・22・3816(地域医療連携室) (いずれも自費で要予約)
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