塩こうじ:うまみ引き出す万能調味料に人気 手作りも簡単(毎日新聞)よりH24.01.30紹介 そうなんだ@為五郎
「こうじ」といえばみそや日本酒を造るのに欠かせない素材。それを調味料として生かした「塩こうじ」なる発酵食品が、じわじわと食卓に普及しつつある。そのうまさの“正体”と、人気ぶりとは。
今や大手スーパーや百貨店の食料品売り場には、塩こうじのコーナーが設けられている。イトーヨーカドーは昨年10月から販売を始め、米こうじを含むこうじ類全体の売り上げは「前年の約10倍に伸びた」という。曳舟店(東京都墨田区)では「話題の商品」と銘打って3種類の品を並べる。「雑誌やテレビで取り上げられていたので、一度試してみたくて」。近くに住む主婦(68)は、そう言って買い求めた。
塩こうじとは、こうじに塩と水を加えて発酵させたもの。トロトロのおかゆ状で、こうじの甘い香りが立ち、まろやかな塩味が特徴だ。そこに含まれる酵素はデンプンやたんぱく質を分解してブドウ糖やアミノ酸、グルタミン酸に変え、食材のうまみを引き出す。野菜を漬物にしたり、肉や魚を漬け込んで焼いたりすると、深みのある味を楽しめる。いわば「万能調味料」なのだ。
外食チェーンの「デニーズ」は昨年9月から、「四元豚ロース肉の塩麹(こうじ)焼き」の定食をメニューに加えた。肉のおいしさが引き立ち、リピーターも多いという。カフェ&バー「プロント」も、塩こうじトマトソースを使ったパスタを売り出している。
よく混ぜて1〜2週間寝かせるだけ、と手作りも簡単だ。その魅力にはまっているというイラストレーター、おのみささん(43)は「優しい塩味が懐かしい。手作りの塩こうじは日々変化し、生きた食品であることを実感できるんです」と話す。こうじ料理研究家として10年11月に「麹のレシピ」(池田書店)を出版し、昨夏の続編と合わせて約14万部が売れた。
おのさんによると、ゆで卵を塩こうじに漬けたり、オリーブ油、ゆずコショウと合わせたりしたドレッシングが絶品という。自らも友達と料理を持ち寄り「塩こうじパーティー」を開く。「料理の保存も利くので、1人暮らしの人にもぴったり」
東北地方では、江戸時代から漬け床に使われてきたとされる。それが近年、グルメ漫画で取り上げられ、おのさんらの本や情報番組で紹介されたのを機に、広く知られるようになった。健康志向を背景に手軽さから人気を拡大。塩こうじを使えば他の調味料を省くこともでき、塩分が気になる中高年にも受け入れられている。
創業300年を超えるこうじ専門店「糀(こうじ)屋本店」(大分県佐伯市)の女将(おかみ)、浅利妙峰さん(59)は06年から塩こうじの魅力に着目し、料理講習会を開いて紹介してきた。「昔はみそ、甘酒も各家庭で造っていたが、今はほとんど造らない。このままではこうじが日本からなくなる」と危機感を持ったのがきっかけ。翌07年から販売も始め、現在は全国から注文が舞い込むという。昨秋にレシピ74品をまとめた「糀屋本店の塩麹レシピ」(PHP研究所)を刊行し、3万5000部が売れた。
順天堂大大学院加齢制御医学講座の白澤卓二教授は、塩こうじの魅力として▽食べ物がおいしくなる▽栄養価が高く体にいい▽食品の保存性が高くなる−−の3点を挙げる。特に健康面について「発酵の過程で抗酸化物質が抽出されるので免疫力が高まり、アンチエージング効果もある。日本人の長寿にも関係しており、塩こうじをきっかけに、みそやみりんなどの発酵食品の力を生活に取り戻してほしい」と話した。
このブーム、どこまで“発酵”が進む?
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