★★渾身の長編現地レポート//どなたか単行本にしてくださいな★★
■■■元祖・じゃぱゆきさんの物語 ■■現場report ■テレビのチャンネル/テレビの下は若い子だけ―――の理由
あながちテレビの下にはテレビ好きだけが集まっているのかと思っていたが、そうでもないらしい。この店では「テレビの下の若いグループ(テスを除く)」と、ソファーにいる「ベテラン・独立独歩勢」に大別されるが、ベテラン勢がテレビの下、即ち「明るい場所」へ来ない理由が分かった。ひとつは僅かだがエアコンの効くソファーの傍がいいという理由もあるのだろうが、もうひとつ最大の理由は「暗い」からであろう。したがって顔の小皺が見えずらい。年齢を詐称しやすいということもある。
例えばパラワン妹(後出)は非常におとなしく、暗闇に隠れるように柱の影にいつも座っているのだが、彼らにしたところで人並み以上の色黒だから、それを気にして隠れているのかもしれない。
私がフィリピンパブの店長時代の話だ―――。 どこの店でも気の利いた店なら、必ず照明のコントロールは付いている。丸いツマミを左右に回すか四角いボタンを上下すれば、店内は手術台のような明るさから、真っ暗になるまで調節することが出来る。
その店では店内の照明をコントロールするのは、もっぱら私の役目だった。ところが…いつの間にか気付かない程度に少々暗くなっている。それは客の伝票をチェックしたり、会計をしている時に文字が読めなくなってしまうのことから分かった。それでまた照明を少しあげると、またまた少し暗くなっている。ほおっておくといつの間にか、狢(むじな)の穴倉ように暗くなってしまうのだ。
それはまぁ暗い方が、客としてもそのスケベな手をよからぬ方へ伸ばしたり出来るし、いいには違いなかろうが、その店はあくまでフィリピン・パブであって、ハードな風俗店ではない (いったい誰が照明を落とすのか…?) 気にかけて注意していると、犯人は当時のナンバーワンだったJという子だ。
「だって暗い方がいいよぅ。」 とは彼女の弁だが、自称27歳の彼女は明るいところで見ると、顔じゅうに小皺があった。照明を気にするのは彼女ほか高齢者たち(おそらく30歳過ぎ)だけで、他の若い子達はまるで気にかけなかった。
閉店時間になると酔客を早く帰らせるため、私はいきなり照明をいちばん明るくし、客の余韻を断ち切った。 「はい、有難うございましたーっ。本日は閉店でーす。まだ明日も明後日も営業しておりますので、また来てくださーい!」 と陽気に言って、とっととテーブルの上をきれいさっぱり片付けたものだ。こんなとき明るい照明を嫌って、真っ先にトイレに化粧直しに駆け込んでいたのは、他ならぬJだった。もしかしたら本当の狢(むじな)だったのかも知れない…。
つづく
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