数隻のフリゲートを従え、太平洋上に浮ぶ巨大な影があった。 2011年、アメリカは新鋭の航空母艦が次々と竣工するにあたって、最も旧式に属する空母「エンタープライズ」を退役、解体することを決定した。 しかし、ノーフォークに放置され、鉄クズに成り果てる運命のこの老兵を買い取りたいと申し出る企業があった。 「ホワイトウォーター」 近年の紛争やテロの激化に伴い急激に規模を増やすことになった各軍事企業、その中でも多方面に依頼を受け、業界トップに躍り出た新興企業である。
老兵は今、ほとんどの艤装を取り外し、新たなる兵装を装備するため一路日本の佐世保港を目指していた・・・・。 「こうも上手く行くと、罠かもしれないと心配するよ。」 男はそう言うと、窓の外に映る巨艦に視線を移した。 「原子炉の関連は大変だったんですよ。」 若い青年が返す。 「ふん、しかしよく日本の連中は依頼に応じてくれたな、このような時期に。」 「確かに、今回の件で一番不安な部分でしたからね、流石に非武装の空母は願い下げです。」 青年は苦笑を漏らすと、数枚の書類をファイルから取り出した。 「こちらが装備予定の機種になります」 「F/A−18Sか。」 「搭載機までは贅沢言えませんね、艦本体の装備の額も半端ではありませんし、個艦防空にはこれで十分かと、無論随時装備を考えますが。」 「仕方ない、か。それで、装備の調達と艤装の完了は?」 「無理言って今年中に終わらせる予定です。」 「わかった、それまでは準備に勤しむとするか。」 「“本社”が完成すれば、忙しくなりますからね。」 青年のPDAが着信音を発する。 「失礼」青年は届いたメールを確認する。 「また用事です、ではこれで。」 「ああ、また来年あの“本社”で。」
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