キルヒアイスが貴族連合軍の捕虜引見の会場である大広間へ入ろうとした時、衛兵が彼を呼び止めた。
「閣下、恐れながらお腰のものお預かりいたします。」
「・・・私はキルヒアイス上級大将だが、それでも銃の携帯は許されないのか?」
「はっ!も、申し訳ありませんが、どのような身分の方であれ例外は認められないとのことです!」
そうか・・・と仕方なく銃を差し出そうとしたキルヒアイスに、珍しくイタズラ心が芽生えた。
「この銃は・・・私と侯爵閣下との信頼の証、その一つなのだが・・・そうか、残念だ。」
悲しげに微笑みながら銃を差し出す赤毛の青年を見て、もう一人の衛兵であるコリンズ上等兵は故郷の息子と村の鍛冶屋の娘との仲を気にするあまり家伝の阿波踊りを一子相伝の掟を破り、領主の甥と共にクラブで勇名を馳せた〜中略〜決意した。
「閣下、どうかそのままお通りください」
「えっ!いや・・しかし」
狼狽する若い衛兵を気にせずキルヒアイスを見つめるオヤジ上等兵。
このオヤジの恍惚に輝く目を見たキルヒアイスは歴戦のツワモノだけが感じられる何かを感じた。
逆らってはいけない。
素早くそう判断したキルヒアイスはありがとうと、ぎこちない笑みを浮かべて彼らの前を通り過ぎていった。
こうして歴史は動いた。
完
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