ケラの書き下ろしに挑戦 蜷川演出「さいたまゴールド・シアター」(asahi.com)よりH21.06.20紹介 そうなんだ@為五郎
平均年齢70歳のアマチュア出身俳優による高齢者劇団「さいたまゴールド・シアター」が第3回公演「アンドゥ家の一夜」を上演中だ。劇作家ケラリーノ・サンドロヴィッチが42人の出演者に書き下ろした群像劇。演出の蜷川幸雄は「長いせりふ劇に挑戦する俳優たちとケラさんの作品を初演出する自分。二つの冒険が重なり、面白いことになった」と話す。(藤谷浩二)
ポルトガル在住の92歳の哲学者・安藤先生の人生最後の1日に、家族や高校教師時代の演劇部の教え子、近所の人々らが集う物語。時が進むにつれ、それぞれのグループの複雑な人間関係や人々の内面が明らかにされてゆく。
07年の第1回公演「船上のピクニック」(岩松了作)を観劇したケラに、蜷川が新作を依頼した。「岩松さんやケラさんの表現は一見リアルなのに、リアルを超えた世界へ到達する。人間の見方もよい意味で意地悪。割れた鏡の断片にひとつひとつ謎が入っているような彼らの文体と、どうやっても自らの生活史が演技ににじみ出てしまう非・職業俳優たちがぶつかると、思わぬ効果が生まれるのが楽しい」と蜷川は語る。
遅筆で知られるケラだけに、けいこは綱渡りだった。「条件の悪さがかえってプラスになる瞬間があるのが芝居の不思議。井上ひさしさんの『ムサシ』も台本はギリギリだったが初日を開けられた。出演者とスタッフが支え合えば、困難は力になる」
ケラの創作姿勢に対する信頼もあった。「全員に固有名詞の役名をつけてくれたところに、俳優や現場への優しさを感じた。けいこの映像を見て、座付き作者のように俳優や役の個性を膨らませてもくれた。いくら大変なけいこ場になっても、ケラさんと心中する気になる」と笑う。
昨年の第2回公演「95kgと97kgのあいだ」(清水邦夫作)は「フェスティバル/トーキョー」に招かれ、3月に再演された。軌道に乗り始めたゴールド・シアターの将来を蜷川は「若い劇作家の新作を上演する集団にしたい」と見据える。「いずれは僕以外の若い演出家が、老いやそれぞれの実人生とつきあいながら芝居を続ける彼らと、新しい冒険をしてほしい」
井上尊晶演出補。さいたま市の彩の国さいたま芸術劇場小ホールで7月1日まで。3千円。電話048・858・5511(劇場)。
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