不況にあえぐ日本の美術界だが、やはりゴッホだけは別格だった――。文化勲章受章画家の故・中川一政さんの美術収集品168点のオークションが8日、東京・銀座のアート・ミュージアム・ギンザで開かれ、作者不詳から一転ゴッホ作品と判明した「農婦」(「婦人像」を改題)が、6600万円の高値で落札された。
ゴッホが話題になったせいもあり、地階とモニターを設けた1階の両会場は、競売客や報道陣など通常の倍近い約600人でごった返した。「農婦」が登場したのは、オークション最後の午後7時過ぎ。競りは500万円から始まったが、またたく間に価格ははね上がり、最後は6000万円台の攻防となった。
競り合いが6600万円で決着した途端、場内は大きなどよめきと拍手に包まれた。落札したのは、広島県廿日市市に本社のある住宅建材メーカー会長、中本利夫さん(73)。美術愛好家としても知られ、出身地の同県吉和村に開設した財団法人・ウッドワン美術館の館長を務めている。
中本さんは落札後、代理人の画廊社員・海老原英男さんがかけた電話に応え、「金額は安いに越したことはないけれど、どうしても手に入れたいと思っていました」と感想を述べた。00年12月にも、岸田劉生の「麗子像」を3億6000万円で落札し大きな話題を呼んだ。
同美術館は他に藤田嗣治ら日本近代絵画を中心に800点の収蔵品があるが、海外の作品を手に入れたのは初めて。今回の報道を聞いて、「ぜひゴッホを広島に」と買うことを決めたという。
同館の収蔵品を展示する巡回展が今夏から全国6カ所で開かれる予定で、さっそくそこでお披露目すると話していた。 【三田晴夫】(毎日新聞)
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