そんな生活を送っていた訳だが、全てが最低だった訳ではなく、得るものはあった。それは、人として人であるために、大切な人の優しさ。自分の業務を無償で手伝ってくる同僚がいた。先輩がいた。上長がいた。それも毎日夜中まで。土日も返上し、徹夜まで付き合ってくれた。妻子持ちの人だと、夜中とか休みの日は幾度となく、家族からの心配の電話や子供と映画に行く約束はの電話が鳴ってた。それでも嫌な顔ひとつせず、手伝ってくれた。
そんなときは「何やってんだ、俺。」と己を責めた。だけど、一人ではどうしてもなかった。だから、決して弱音は吐かなかった。てか吐けなかった。歯を悔いしばってこらえた。
未だかつてこんなにもお世話になった事はあっただろうか。何一つ、返せないのが悔しい。ただ恩を仇返すような真似は絶対にしないと自分に誓った。というか、これほどまでに人は人に優しくなれるのかと。ただこんなにも感謝した思いが時間とともに風化していくのが、今は一番恐ろしい。
この会社はたぶん辞める。というか、続かない。仮に辞めたとしても、この会社で培った仕事に対する向き合い方、飽くなき会社への奉仕は何処へいこうとも、応用出来るのではないかと思った。
|
|