つくづくもって、趣味は大切である。 趣味など持つゆとりもないほど、生きる事に汲々とした人生の方が、実は充実しているのではないかと思うこともあるが、忙中閑あり、況や週休二日制の暮らしをしている者に於いてをや、否が応でも閑な時間というのは出来てしまうものであり、何かしら楽しい事で埋めなければ、鬱病が忍び寄るのを防げるものではない。
で、その趣味だが、長い事生きていると、いくつも手を出すようになる。 そして、必ず飽きる時が来る。 たとえ飽きなくても、何かしらの理由で行き詰る。 習い事やスポーツなら、「これ以上やっても、うまくならないな」となり、コレクションなら、「これ以上の物を集めるとなると、桁違いにお金がかかってしまうな」となり、打ち切らざるを得なくなる。
大人になってから始めた趣味ほど、飽きるのが早い。 子供の時と違って、自分の性格や能力の限界を知ってしまっている上に、それまでの経験から先々の見通しが立ってしまうので、見限り易くなるのであろう。
結局、一生に渡って続けられる趣味とは、大人になりかけた20歳前後の頃に熱中していた物に限られるようだ。 まだ頭が柔らかく吸収がいい内に基礎知識を覚えてしまうので、苦しい思いをしなくて済むからである。 老化が進んでから始めると、基礎の峠を越えるのが一苦労で、大抵は初心者レベルで終わってしまう。 中高年のピアノが良い例だ。
老後も続ける事を考えると、お金がかかる趣味は避けたいものだ。 車、バイク、釣り、ゴルフ、お宝蒐集などは、年金生活で続けられるような趣味ではない。 とりわけ、勤めている間ゴルフを趣味にしている人は多いが、定年後は一年に一度も行けなくなる事を念頭に置いておくべきだろう。 海外旅行など以ての外、国内旅行でさえ、遠出は難しくなると心得るべきである。
ハードなスポーツも厳しい。 草野球、テニス、サーフィン、スキーなど、40代になれば、もうアップアップである。 無理してやっていると、怪我が絶えない。 骨折などしようものなら、家族から禁止命令が出てしまう。 登山も、遭難した時に、他人にかける迷惑を考えると、控えた方がよいと思う。 遭難でなくても、山頂で倒れてしまっただけでも、人間一人運び下ろすのは大変な事なのである。
では、読書、映画ドラマ鑑賞、手芸、工芸など、インドア趣味ならいいのかというと、それも問屋が卸さない。 目が衰えてしまうのだ。 テレビにへばりつかなくては字幕が読めなくなるとか、本を読んでいて目が霞むようになったら、もう要注意である。 趣味のやり過ぎで失明などしようものなら、死んだ後まで家族から恨まれてしまう。
学問を趣味に出来る人は幸いである。 場所を選ばず、道具も要らず、自分の頭の中だけで楽しむ事が出来るからだ。 芸術はそれに次ぐと思うが、地域クラブに所属して、展覧会や発表会の為に大枚をはたくような楽しみ方なら、やめた方が良いだろう。 それは、社交で見栄を張っているだけであって、本来の趣味とは無関係だからである。
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