講演 ポイント (脊髄小脳変性症含む)
衞藤 義勝 東京慈恵会医科大学遺伝病研究講座 教授 希少性疾患は現在数万の遺伝性疾患が知られているが、治療法が開発されている疾患は少ない。
然しながら最近これらの難治性稀少疾患の治療法も少しずつ報告され、従来の1)食事療法(アミノ酸、有機酸代謝異常症)2)薬物療法(ウィルソン病に対する亜鉛補充、PKUに対するBH4、瀬川病でのドーパミン補充療法など)3)臓器移植(肝臓移植;尿素サイクルサイクル代謝異常症、ウイルソン病など)4)造血幹細胞移植(免疫不全、ライソゾーム病、ALD,、遺伝性血液疾患など)に加え、最近は5)酵素補充療法(ADA欠損症、ライソゾーム病6)基質合成抑制療法(ジェニスタイン:ムコ多糖症、ミグルスタツト:ゴーシェ病、ニーマンピツクC病、エリグルスタト:ゴーシェ病)7)シャペロン治療(ファブリ病、ポンぺ病他)8)AON治療(筋ジストロフィー症など)9)遺伝子・細胞治療などが新しい治療法が知られている。
このうち酵素補充療法はゴーシェ病、ファブリ病、ポンぺ病、ムコ多糖症など6疾患が治療され、画期的な成果を挙げている。然し非常に高額な治療費用であること、毎週或いは隔週に酵素補充を点滴治療しなければならないことなどから、1回或いは数回の治療で永続的治療法の開発が望まれる。シャペロン治療、基質抑制治療は経口治療が可能であるが、効果はシャペロン治療は遺伝子変異により限られる。
又基質抑制治療の長期効果は未だ十分に行われていない。以上の治療法の内将来的に期待されるのは骨髄幹細胞へのEx Vivoでの遺伝子治療法或いは臓器、特に中枢神経障害を治療するin Vivoの遺伝子治療が期待される。最近はアデノ随伴ウイルス(AAV)或いはレンチウイルス又はレトロウイルスベクターを用いた希少性遺伝性疾患の治療の成果が報告されている。
特にSCID,ADA欠損症、Wiscott-Aldrich症候群,X-CGDなどの疾患で成果が挙げられ、更に最近ではレンチウイルスベクターを用いてAdrenoleukodystrophy、,Metachromatic Leukodystrophyなどの遺伝性脳変性疾患、AAVウイルスベクターを用いて、サンフィリポ症候群、ポンぺ病、糖原病、パーキンソン病などの疾患の遺伝子治療が欧米を中心に始まつている。我が国では遺伝子治療体制の整備の遅れから北大でADA欠損症患者の遺伝子治療が行われて以来遺伝病での遺伝子治療は進展していない。本講演では我が国の遺伝子治療体制の問題点、今後の展望に関して述べたい。
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