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品質工学会 Kazzの品質工学特集
品質工学に関するご意見やご質問を自由にお書きください。

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6166.終活の言葉 返信  引用 
名前:KAZZ@管理人    日付:2020年3月26日(木) 13時13分
       ひたすらに南無阿弥陀仏帰依の春
3月22日に菩提寺の釈尊寺で住職から戒名の授与式が行われて妻と二人で参加しました。
その時に妻が詠んだ俳句です。
永遠の浄土の世界に比べたら86年の現世は極めて短いものですが、たくさんの皆様からたくさんの思い出を戴きました。
コロナ騒動でたくさんの高齢者の死亡の報せを聞くにつけ人間の命のはかなさをしみじみ感じています。
帰依とは信仰する意味ですが、田口玄一先生をはじめたくさんの師と遭遇することを楽しみにしています。
残された人生を有意義に過ごすことができるよう修行の道を歩みたいと考えています。

6164.米寿記念スケッチ特集の編纂 返信  引用 
名前:KAZZ@管理人    日付:2020年3月23日(月) 14時12分
Original Size: 1280 x 720, 319KB

来年は米寿を迎えますのでスケッチの旅の記念誌を作ることを考えています。
最初に登場するのはスケッチを始めるきっかけになったスケッチですが、当時は総合技術研究所から時計事業部に転属したとき竜野松下電工に8年間出向したとき、景色が素晴らしい播州平野を24色フェルトペンでスケッチした記録から始めようと考えています。
その第一弾が添付の画像です。


6163.コロナ騒動 返信  引用 
名前:KAZZ@管理人    日付:2020年3月23日(月) 11時4分
コロナ騒動 毎日テレビも新聞もコロナコロナだ。日本以上に大変なのがイタリアやスペインなど欧州諸国である。今朝の報道では安倍首相もオリンピックの延長を宣言された。
欧州諸国では握手や親しい人とのハグなどを法律で禁じる方針を決めるとか。また欧米で話題になっているのは、握手の代わるあいさつをどうするか。「胸に手をあてて微笑む」「お互いの足を優しく蹴り合う」、お辞儀をインド式の「マナステ(こんにちは)」でという案あるそうだ。
コロナ菌はあまりにも小さくて、マスクでは防げないのだ。スマホやお札など日常使うモノすべてに付着しているのだから、防ぎない厄介な怪物なのだ。われわれ病気持ちの老人には難敵なのである。今朝も歩いてきたが体力をつけて免疫になることを考えるしかない。4月の関西QE研究会も2か月続きで中止になった。
昨日は、菩提寺で戒名の授与式があって、仏の道に入る南無阿弥陀仏を繰り返し唱える練習を行った。
86年の人生であったが、無限の悟りの世界のほんの一部だけ活かされてきただけであるから、浄土の世界を迎える準備は整ったことになる。

6159.田口先生と私の接点 返信  引用 
名前:KAZZ@管理人    日付:2020年3月7日(土) 10時28分
田口玄一先生から私のことをよく観察されていて次の3つのお言葉には感謝しています。

1.「原さんは技術屋だから・・・・」
私は固有技術者だったから、問題や課題の解決に対してシステムの制御因子の技術手段を先行した考え方であったためです。

2.田口先生の講演会の中で聴取者の方から「システム設計の中でタグチメソッドは使えるのですか」という質問に対して
「原さんは200のシステムを考えて、その中から3つ選んでそれぞれのパラメータ設計を行う・・・」とおっしゃっておられました。
実際には200はオーバーですがたくさん考えてその中で最適なシステムのパラメータ設計を行ったということです。

3.自動車殿堂入りの講演の中で(DVD ROBUST ENGINEERINGの中から)
会場から「品種の問題のようなものにも、品質工学が取り組んでいくというようなことを仰ったのでしょうか。」に対して
「これは文化の世界なのですね。原さんは画家なので、こういうところの絵を15分か20分で描いてしまうのです。もっと細く描いてと言うと原さんは嫌がるかもしれませんけれど、この人に気に入られようと思えば細く描いてくれると思うのです。画家は自由を持つているのです。それから顔の色も、何色でもかいてくれるのです。その自由があるということは、実は文化なのです。」

田口玄一先生の思い出は尽きませんが、これからも心に銘じて精進していまいります。

http://kaz7227.art.coocan.jp



6160.Re: 田口先生と私の接点
名前:のっぽ    日付:2020年3月8日(日) 21時41分
Kazzさん
 コロナウィルスのおかげで、だいぶ暇な時間ができました。今月はほとんど外出は中止になります。
さて、Kazzさんは田口先生と長期間付き合った経験があり、Kazzさんに関する逸話も残っており、うらやましいですね。私が品質工学を始めたのは2000年です。当時リコーはY先生に指導をお願いしていた関係もあり、田口先生と直接お話しする機会はあまりありませんでした。
田口先生と直にお話しできた期間は、小脳梗塞で倒れられる直前の2年弱しかありません。Y先生の指導期間が長かったこともあり、田口先生に代わっていただいたのです。いま思えば幸運なことに、田口先生とお付き合いできる最後の期間だったことになります。この期間に学んだことはかなり記憶に残っています。貴重な経験でしたし私の財産です。
同じ時期に、学会の機能性評価委員会にも参加させていただき、田口先生から「取引のための機能性評価」の考え方を教わりました。パラメータ設計が中心のそれまでの考え方とは異なり、刺激になりまた勉強にもなりました。パラメータ設計の根底に機能性評価があるということを、明確に認識するきっかけになりました。
この委員会の議事録を学会誌の原稿にまとめる担当だったことも、より深く理解できた背景になりました。同時に、最終報告がなかなか学会員に方々に理解されなかった経験も思い出します。改善のための機能性評価(パラメータ設計)と、取引のための機能性評価が区別が十分理解されなかったのが原因のようです。
このような経験を踏まえて考えた内容が、一冊目と二冊目の出版につながりました。一冊目の「ベーシックタグチメソッド」の説明は、パラメータ設計でない機能性評価から始めているので、多くの方から「新鮮だ」という感想をいただきました。学会の委員会の報告書があまり理解されなかったので、この感想はうれしかったですね。自信ができました。

…気が付いたら、自分の経験談になってしまいました。この辺で止めます。コロナが少し収まるまで、リスクの高い我々年寄りは外出を控えた方がよさそうです。Kaazzさんも持病をお持ちですから、ご自愛ください。

http://www.br4.fiberbit.net/noppo/


6162.Re: 田口先生と私の接点
名前:KAZZ@管理人    日付:2020年3月9日(月) 9時43分
のっぽさん

世界的に新型肺炎で異常な状態が続いていますが、心配ですね。
関西QE研究会も3月は休会になりましたが、4月以降にどうなるか予想ができません。
3月の研究会で講演を頼まれていました内容はスレッド6157の内容ですが、この座談会は1988年に「タグチメソッドとは」という内容の座談会が行われ、田口先生、福田猪沙男さん、東大の竹内啓先生、司会は矢野先生で行われたものですが、当時は、タグチメソッドは教育や普及があまり行われていなかったので、企画されたものです。
JIS規格「規格値の決め方が」制定されていますが、いまだに売り手と買い手の許容差が決まっていないので、データ改竄が行われていることが問題になっています。
田口先生が「品質工学では、統計学は要らない」と過激な発言をされて、統計学者の竹内先生からは、タグチメソッドは統計的実験計画法の延長で考えられるもので、別物ではないと言われていたことが印象に残っています。
最近では、品質工学会も品質管理と手を組んで進める方向になっていることは、タグチメソッドの普及には好ましいことだと考えています。、

6161.戒名を戴きました 返信  引用 
名前:KAZZ@管理人    日付:2020年3月8日(日) 22時56分
終活のために菩提寺の住職と相談して下記の戒名を作っていただきました。

   彩雲院教誉即真智彦居士

人徳を以って、真の「無用の用」を極めて、悟りを得て、色彩豊かな浄土にて、有縁の方々を教え導き下さることを願い

6157.統計学者のみたタグチメソッド 返信  引用 
名前:KAZZ@管理人    日付:2020年2月28日(金) 17時4分
3月研究会が新型ウイルスのことで中止になり、私の講演も延期になりましたが、タグチメソッドについて考え直す機会になったことを感謝しています。
今回は永田先生の講演もある予定でしたが、統計学者の皆さんがタグチメソッドに関心を持ち、品質管理協会の機関誌1988.Vol18 No.3 「品質」で6名の方が解説されていました。
今回私が参加した座談会(1988年5月)でも竹内先生が誌上参加されて意見を述べられていましたが、やはり偶然誤差のあわて者の誤りやぼんやり物の誤りについて否定できないのではないかと述べられていました。。
田口先生は数理統計学を熟知されており、フィッシャーの実験計画法もご存知の方ですが、技術の世界では「統計学は要らない」とまで述べられて統計学者と論争をされたことは皆さんご存知だと思います。
科学の世界では、自然を観察して新しい発見をすることを重視されますが、技術の世界では偶然はなく、システムが市場に出てからのノイズ(使用条件)にいかにロバストであるかだけが大切なはずです。風が吹いてきて建物がどちらに倒れるかなどの確率はあまり役立たないのです。そのため、田口先生は偶然誤差より必然誤差を重視したのです。
ところが、統計学者は数理統計学の立場から、あわて者の誤りやぼんやり物の誤りを重視しているのです。



6158.Re: 統計学者のみたタグチメソッド
名前:KAZZ@管理人    日付:2020年3月5日(木) 18時29分
関西QE3月度講演の内容


タグチメソッドは田口玄一の創造だが、座談会では統計学者を含めてタグチフィロソフィーの在り方を議論したものである。
田口玄一は、数理統計学も統計的実験計画法も熟知された背景で、技術の世界では市場におけるノイズの世界(必然誤差)を重視した開発が必要で、「数理統計学は要らない」とまで宣言された。
それに対して、福田猪沙男さんはタグチメソッドの素晴らしさを認めながら、ビジネスの分野では数理統計学の分布の概念も必要であるから、要らないとして切り捨ててしまうよりは、われわれとしてはやはりいろいろなことを知っておいた方がよいという気がする。
竹内先生はタグチメソッドの考え方は理解できるが、観察の世界で偶然誤差を認めることは今後も必要ではないかで対談は終わっている。
品質工学会の運営は、統計学者の意見も加えることが必要で、学会の会長人事は動いている。

タグチメソッドは、開発の生産性を高めて、市場における品質を速やかに評価する技術であって、品質を改善するためには、その前に、システ選択段階で固有技術を使って、新奇なアイディアを創造することが大切であると考えている。

タグチメソッドとはの解説

1.売り手(生産者)と買い手(顧客)の許容差
力関係のような非合理の要素を排除して、公平な立場で技術的問題を経済的な尺度に置き換えて、最適な許容差を決めることが大切である。
データの改ざん事件の原因は、売り手側の技術力のなさで起きたものが殆どである。
JIS規格があまり活用されない理由は、顧客の機能限界Δoを超えた時の顧客の損失Aoがあいまいだからではないかと推察する。目に見える実際損失管理から、目に見えない機会損失管理に置き換えることが大切である。
市場の品質は不良率では評価できないので、損失関数に置き換える必要がある。(デミング博士の遺言)

2. 最適解における日米の差
アメリカにおける技術開発では、目標値からのずれの平均2乗誤差を最小にするこが最適設計法の中心であった。
タグチメソッドでは、SN比で平均値のばらつきを最小にしてから目標値に調整する「2段階設計」を行う。
データは平均値からの誤差であるから,加法性のある2乗の世界ではエネルギーの有害成分(Se)は全出力(ST)から有効成分のエネルギー(Sm)を引いた値で表される。ノイズを考えた場合のSN比でも同じことである。


@.目標値からの差の2乗の計算例
 プラスチックの成形寸法を調べたところ,目標値からの差が以下のようであった。
-28,-11,-29,-19,-14,-29,-23,-32,-14,-19,-8,-12,-11,-20,-10(単位:μm)
全2乗和 
平均値の効果 
誤差変動 Se=ST−Sm=6083−5189.4=893.6

A 「目標値からの2乗平均誤差」と「平均値からの2乗平均誤差」は違う
目標値からの差の2乗の平均誤差VTは
全2乗和 ST=Σ(y-m)^2  に対して,その平均値である平均2乗誤差VTは
平均2乗誤差VT=Σ(y-m)^2/n で表される。

【計算例】
目標値からの2乗平均誤差 VT=Σ(y-m)^2/n=6083.0/15=405/5μm^2 
平均値からの2乗平均誤差 Ve=Se/(n-1)=63.8μm^2
 また,両者の関係は次式のようになっている。

VT=(y平均値-m)^2+Ve

右辺の第1項が平均値の目標値からの「偏り」を表し,第2項が平均値の周りの「ばらつき」を表している。
VTと比べると,Veの方が小さくなっている。平均値を目標値に合わせた後のばらつきを合わせる前に知ることが重要である。
エネルギー比型SN比でも,目標値に合わせた後のノイズの平均値の誤差変動SNを重視する。

理想機能 y=βM
計測誤差 y=βM+e
全二乗和 ST=Sβ+SN

3.問題解決型から技術開発型へ
―科学的思考から技術的思考へー
実験計画法は、英国の統計学者フィッシャーが農事試験場による対策から生まれたもので、数理統計学に基づく「レスポンスの研究」で、収量を高めることが目的である。特性値は平均値を用いてばらつきは等分散で正規性を考える。箸を立てたとき、空気の流れの僅かな差を確率的に問題にした。したがって観察の立場でノイズとの微妙な関係を調べたのである。
米国のシューハートの品質管理も品質特性の規格限界いっぱいの分布を調べるのだから、品質は向上しない。統計的な不良率管理では市場品質は評価できないのである。
タグチメソッドは、改善の立場で、市場における品質を重視する実験を重んずる。そのためには、設計段階で機能性評価とパラメータ設計を行い、SN比による機能の安定性と確認実験で下流の再現性を確保する市場品質を重視した。

4.現場が修正してくれる日本式
アメリカは研究所で決めた技術標準は現場では変えてはならない。日本では問題解決型が普通であるから、現場で工程条件や許容差設計で欠点を修正するのである。そのため、納期が遅れてコストが高くなる。
 そこで、現場で修正が不可能のように、製品設計と工程設計のパラメータ設計を行い、現場では修正が必要でないように設計条件の最適化を行うのである。

5.SN比への誤解
SN比を求めるときには、入力ゼロとき出力ゼロになるのが理想だから、温度の場合、摂氏ではなく、絶対温度を使うことになる。
望目特性でSN比を求めるときには、目標値からのずれは一因子で調整できるから、平均値のばらつきでSN比を求めることが重要である。
動特性の評価でも、SN比の分子はβの主効果
Sβと分母はノイズの影響であるSN(ノイズの主効果SNXβ++誤差変動Se)との比で求める。

6.数理統計学との関係
タグチメソッドでは、数理統計学はいらないということになったが、数理統計学にも一理あるので、要らないとして切り捨てるよりはいろいろのことを知っていた方がよいという福田さんの意見があった。

7.誌上参加(数理統計学者のみたタグチメソッド)
竹内先生は数理統計学の立場から、第1種の誤り(あわて者の誤り)と第2種の誤り(ぼんやり物の誤り)のバランスをとることが大切で、統計的実験計画法は二つの誤りを小さくするように合理的に実験を組むことが目的である。
田口氏は偶然誤差より必然誤差を重視するシグナルに対するSN比を目的にしたが、基本的論理はタグチメソッドにとっても本質的な一要素であるから数理統計学の基本的な考え方や手法のいくつかを受け入れる方がコミュニケーションの効率化という点からも有用ではないかと考える。
田口先生の貢献は平均値でなくて、むしろ世の中で避けられないばらつきの大きさをコントロールすることを実験の目標にされたことが大きな特徴である。
フィッシャーはノイズを除いて収量のような平均値を高くすることを重要に考えた。フィッシャーはノイズの影響を消極的に考えていた。
 竹内先生は、タグチメソッドを信奉する方が数理統計学は要らない言わられると困る。

統計学者のみたタグチメソッド
フィッシャーの実験計画法と田口式実験計画法の違いについては前に述べたので省略する。

8 技術の専門家と統計の専門家
タグチメソッドでは、窓と窓枠のクリアランスが問題の時隙間には加法性がないので、窓と窓枠のサイズを望目特性で評価した後で、平均値で調節するクリアランスを研究はダメだ。田口先生は、安定性のいいものは、それ以外のノイズに対してもロバスト性が悪くなるということはあまり考えられない。

http://kaz7227.art.coocan.jp

6156.2020新春記念講演について嶋崎さんの解説 返信  引用 
名前:KAZZ@管理人    日付:2020年2月2日(日) 11時22分
2.新春記念講演 原顧問(14:10〜15:30)
「品質工学に出会う前とその後 ―科学的思考 から 技術的思考 へ―」

本日は現役時代に企業で何をしてきたかというお話をしたい。
1957年(昭和32年)に松下電工に入社した。そこで技術部電気特別研究室に配属された。
今は新人教育など行うが、昔は、新入社員はすぐにモノを創った。
当時、私が考えていたのは「日本初・世界最高性能」を創ることだった。
1960年はがき・切手自動販売機を郵政省からの依頼で創った。ハガキの厚みは0.18mm、それをいかに上手く送り出すかということ。私の製品が優れており採用された。
1965年には戦車攻撃システム。1966年には小型歯車を研究から開発まで行った。この時、海外から放電加工機、その他フライス盤を購入した。当時、放電加工機は日本に3台しか無かった。モノづくりのために全て自分で行った。
1968年に電磁カウンタを設計し当時の世界最速(秒速100回)を達成した。
1970年に小型有極電磁リレー、1980年にPHP自動販売機とクオーツ水晶時計を開発した。
やったことは日本初・世界最高のモノを創ること。とにかく性能第一、それが技術屋の仕事だと思っていた。
信頼性試験などは長時間の信頼性試験をして出せば良いと思っていた。
ところが、市場に出すとトラブルが多発した。

当時は機械回路を電気回路に置き換えてアナログコンピュータを駆使して設計していた。
技術屋としては最高に楽しかった。とにかく性能第一でやっていたが、市場でよくトラブルが出た。
これではいかん、ということで当時、松下電器産業(現 パナソニック)の技術顧問であった唐津一氏に相談に行った。何か信頼性を評価する手法はないか尋ねたところ、唐津氏はあまりご存じでなく、田口玄一氏を紹介された。
そして1980年〜1994年に中部品質管理協会で品質工学研究会に参加した。
1993年に品質工学フォーラム(現 品質工学会)を設立に参加した。会長は田口玄一氏、副会長は馬場幾郎氏と私(原和彦氏)だった。結果として私だけ副会長を16年3か月続けることになった。
1994年に60歳で定年を迎え、1月15日に関西品質工学研究会を設立し、初代会長になった。
2003年、JAXAのロケット打ち上げ失敗に対して抗議したところ、JAXAの信頼性執行役員、プロジェクトマネージャの2名が相談に来られたので、信頼性試験ではなく品質工学の考えを伝えた。自分としてはこれが社会貢献の1つだと認識している。

品質工学を学んで何が理解できたかというと、学ぶ以前に考えていた世界は「線形の世界」(1+1=2の世界)だった。性能さえ良ければ良い、それを設計するのが技術屋の仕事だった。それを自慢していた。
品質工学と出会って初めて「非線形の世界」(1+1≠2)があることに気付いた。
普通の技術屋がノイズに鈍感であることなど考えない。それが大事だということを痛烈に感じた。

品質工学と曼荼羅とは共通点がある。私はこれが品質工学そのものだと考えている。
曼荼羅の真ん中にいるのが仏の化身である大日如来。その周りに弟子の僧侶、お坊さんがいる。外枠の赤い所は、苦しみ悲しみなどで大日如来にすがっている人たちが居る。
大日如来とは品質工学で言う理想機能と考えられる。
理想機能は到達できる世界ではない。S/N比が無限大でないと到達できない。我々がやっている改善はそこから離れた場所。理想機能を求めているが理想機能は達成できない。しかしQCDは同時に達成させないといけない。(一石三鳥)
モグラたたき型の問題解決は、曼荼羅で言うところの苦しみ悲しんでいる世界と同じ。
S/N比は無限大が理想であって到達はできないが、理想機能から考えたS/N比を求めなさい、というのが田口先生の考え。

QCの特性要因図(フィッシュボーン)は問題が起こってから問題の原因を突き詰めるやり方、それはダメ。
私はW型特性要因図を考えた。
摩擦版の機能は何かと言うと、信号である面圧を加えた時にいかにトルクが出るか、ということ。
これに何が効いているかというと制御因子。誤差因子もある。もう1つ標示因子もあり、これは高速回転、低速回転があるが実際はこれも誤差因子。見たければ見れば良い。制御因子と誤差因子の交互作用で品質を改善する。皆さんには是非こういう図を、問題が起こる前に描いて仕事をして欲しい。

品質工学の素晴らしさを体験した最初の事例は1980年。
デイジープリンタの電磁ソレノイドのトラブルが発生した時に、パラメータ設計で改善した。
「システムは複雑でなければ改善できない」、これは老荘の哲学である「無用の用」であると考えている。
高温時にプランジャーが2度打ちしてしまうことがあり、そのプランジャーを設計変更して改善した。
部下がソレノイドの機構の微分方程式を解いた。評価はバウンド量をゼロ望目特性として行った。
制御因子であるバネ定数を10、5,000、10,000とした。ノイズを±10℃、±20℃、±40℃として、L27の直交表を使用して実験した。L27は交互作用を求めることができる。
バネ定数10から5,000は交互作用があるが5,000から10,000はほとんど無かった。
結局15円のOリングを入れることで改善できた。
後にBoxという世界的な統計学者が日本に視察に来て、この事例に非常に感心された。
パラメータ設計でシステムを改善した事例はそれまで無かった。

同じく1980年にS-H変換法でマッサージチェアを開発した。いかにシステムを創造するか。
プロのマッサージ師の「グイっと押し、グっと締め、スッと抜く」目的機能のマッサージ曲線を達成する技術手段は楕円ギヤが良いと分かった。1981年にデミング賞を受賞している。
1985年には、S-H変換で肩たたき機を開発した。
駆動部や伝達部がどのようなエネルギー変換をするかをS-H変換で考え、その後パラメータ設計を行った。
技術手段としてソレノイドが良いと思っていたが、ソレノイドだけでもアイデアは複数あった。
そのシステムを選択する方法としてS-H変換を行ったという事例として紹介した。

1985年にNCRDPチェックリストによる開発・生産プロセスの充実を図った。
NCRDPとはNeeds, Concept, Research, Design, Productの頭文字。
機能性評価・パラメータ設計・許容差設計・制御設計・検査設計の一貫生産を考えた。
結果として製造段階では実現はできなかった。

『設計の空洞化を防ぐ設計審査の要点』は、設計審査の時にチェックリストで確認するようにと作ったもの。
ほとんどが品質工学的な視点から要点を書いている。
皆さんもこういうものを自分で1度作って欲しい。そしてそれで自分の仕事をチェックしてみて欲しい。

2番目の事例はCdS素子の事例。これも学会誌に掲載されている。(1994年Vol.2 No.3)
CdS素子とは、夜になったら点灯し朝になると消灯するような街灯に使われている素子のこと。
電子回路を周囲の明るさで自動的に制御する素子。
当時、市場トラブルが出てから私のところへ相談があった。そこで機能性評価をした。
目的機能は光が入った時に抵抗値が変化すること。抵抗の基本機能は電圧/電流。
要するにどんな明るさの時でも抵抗値が安定していないといけない。技術者が見るべき機能はこれ。
世の中にあるCdS素子の9品種を評価した結果、良いものは損失コスト4.5円、製品コスト80円、総コスト84.5円で、悪いものは損失コスト1250.5円、製品コストは30円、総コストは1280.5円であった。
部品の購入は、製品コストではなく総コストで判断しなければいけない。
田口先生から光は信号ではないかと言われたので信号に入れてやってみた。私は標示因子で良いと思っていた。結果、同じような結果となったため、私としてはこれで良かったと思っている。

最後に『機械システムの機能性評価』。
機械と電気のアナロジーで考えるということ。これも学会誌に掲載されている。
信号回路の機能性評価をどうするかということ。
静特性の機能性評価はあるが動特性の機能性評価は意外に少ない。
バネに振動を加えるといずれは収束する。静的にはフックの法則だが、動的に言えば粘性がある。ダンパは電気で言うと抵抗になる、バネは電気で言うとインダクタンス、慣性質量とは電気で言えばキャパシタンス。こういったアナロジーで考えようというのが論文の主旨。

トランスジューサは4端子回路網で表すことができる。
その入出力のエネルギー変換を考えて、
1:何を測れば《目的機能》を満足するのか
2:目的機能を満足する《技術的手段》は何か
3:その技術手段の《基本機能》は何か
4:その機能を乱す《ノイズ》は何か
というようなアプローチをしていくことが重要。

論文の最後ではスピーカーの機能性評価を行った。
最終的に、入力はボイスコイルに加えたアンペアターン(電磁石の巻き数と電流の積)で、出力はコーンの変位、という入出力関係を評価した。
論文の最後の質問で、入力電流に対して変位をダイナミックに計測した方がより安定性の評価が短時間にできるのではないでしょうか、という意見があるが、その通り。過渡特性で調べれば良い。
"過渡応答の評価を行う理由は、定常状態より過渡状態の方が、システムに対するノイズの影響も大きく作用し、入出力の追従性も感度も鮮明に評価できるからである" これはいつも私が研究会で話していること。
要するに過渡特性で評価すべきということ。

Q:考えがガラリと変化したのは何かきっかけがあったのか?
A:トラブルが出たから。それに対応するために唐津一氏に会いに行った。
 《一生感動 一生青春》 "感"じたなら行"動"しないといけない。動いて初めて"感動"になる。

Q:すぐに動けたのは何故か?
A:私がバカだったから。利口であれば、今のまま性能第一で充分だ、と言い張っただろう。市場でトラブルが起き、農家や家畜などの現場で酷い経験をしたからトラブルが出るのは何故かと真剣に考えた。

Q:田口先生の話を聞いて普通はすぐに動けないと思う。
A:動いていない。『品質工学への道』という本をいただいたがS/N比など中身の意味が分からず本棚に放り込んだ。そして1年間放っていた。決してすぐには動いていない。

Q:実際にテーマに使ってみようと思われたきっかけは何かあったのか?
A:良い話を聞いてきたから、やってみろと部下にやらせた。すでに今までの実験で良い条件が出ているから不要だと考えず、品質工学は面白そうだからやってみろと言った。やはり上司がそういう人でないといけない。
ノイズや原因を調べることはあっても、ノイズに強くする(鈍感にする)ということを普通は考えない。
科学的思考による固有技術は絶対に持たないといけない。科学的思考があって+技術的思考。逆はない。
モノを創るという前提がないと品質工学をやる意味がない。

Q:初めて品質工学に出会って、これは今までと違って上手くいきそうだとピンとくるものがあった?
A:無かった。部下にさせたのは技術者としての勘が働いたから。私は一度も品質工学はやったことはない。

ソレノイドの事例の発表を聞いた1人が「パラメータ設計でシステムを変えるなんて、それはパラメータ設計とは言わない」と言われたが、統計学者のBox氏は「これで良い」ということを言ってくれた。
実はこのソレノイドのシミュレーションモデルは従来の設計も今回の設計も含めて全てを網羅している。
普通の人は従来のシステムからこのシステムに変えるというようなことはできない。

Q:学会誌の「その2」で《目的機能》《基本機能》と書かれていたがその具体例が今回発表された内容か?
A:そういうことです。

Q:原先生が入社された頃は何でも自分でできて楽しくて仕方なかったという話だが、今の世の中は分業が進んでいる。現代で原先生が新入社員で入社されたら仕事をどう楽しむか?
A:分業など気にせずに、上から任せて貰えるようになるために、仕事は何でもやれば良い。

良い話を聞いたなと思うだけではいけない。感じたら動かないといけない。それが感動。
そのためにこの研究会がある、ということが今日皆さんに一番にお伝えしたかったこと。

Q:1年間本を眠らせていたと言われたが、もう1度取り出そうと思った理由は?
A:良い質問。1年後に『信頼性設計事例集』という本が出る。それをパラパラ見ているとパラメータ設計の事例が掲載されていた。そこで1年前にもらったあの本はこういうことを言いたかったのかと理解できた。ただし計算は間違いだらけだった。

研究会ではどんどん議論をして欲しい。
品質工学に出会って、私としては非常に良い人生を送らせてもらったと感じている。品質工学のおかげ。
品質工学は全てに共通する。手法ではなく考え方であり人生哲学。

Q:なかなか品質工学を実行に移すことができない。スピード感を求められていて、結果が出なければ置いとけと言われる。成功した事例を積み上げていくことを求められる。品質工学は失敗を積み上げていくものなのでやりづらい。
A:モノを購入してそれを評価することはすぐにできるはず。何もパラメータ設計をしろ(失敗から学べ)とは言ってない。何に困っているかを見極めて、そこに品質工学を適用すれば良い。

お客様の満足を考えることが重要であり技術屋の満足ではいけない。凄いものを作った俺は偉いと自慢しているだけ。ただしシステムをどう考えるかということはその人の「ヤル気・経験・センス」が必要になる。

6153.基本機能の「理想機能」の誤解と反省 返信  引用 
名前:KAZZ@管理人    日付:2020年1月23日(木) 21時31分
品質工学誌1995年Vol.3 No.3で関西品質工学研究会の5名の会員で「基本機能の座談会」を行ったとき、
「ゴルフスイングの理想機能」について述べたことがあるが、今になって考えてみると間違いであることを反省している。

当時はゴルフスイングの理想機能は「人間の肩の回転角と飛距離の比例関係」であると考えていたが、アマチュアもプロゴルファーも回転角と飛距離が異なり、両者には比例関係は存在しないのである。
飛距離は目的特性であるが、飛距離に影響するのは、肩の回転角だけではなく、腰の切れや腕力や道具の性能によって変わるのである。

それでは、理想機能は何かとなるが、理想機能を定義するときには、目的から定義することが大切である。目的機能の理想とは何かと言えば、50m、100m、150mなど希望する飛距離に近づけることであるから、飛距離のデータと目標飛距離との比例関係を理想機能と考えることが大切なのである。
このことは、田口先生が「スポーツにおける品質工学」の中で述べておられる。

田口先生に「原さんは技術者だから・・・」と言われたことを思い出している。技術者はゴルファーの目的を考えず、ゴルフスイングの物理的な自然現象を考えてしまうため、理想機能も科学的思考が優先してしまうのである。
今になっては反省しているが、品質工学の考え方の奥の深さを痛感する次第である。

上記の理想機能を改善するのは、ゴルファーの技量や道具やボールの種類を制御因子と考えて、ノイズは気候やグランドの状態などを考えて、SN比評価でパラメータ設計を行い、最適条件を求めればよいのである。



6154.Re: 基本機能の「理想機能」の誤解と反省
名前:KAZZ@管理人    日付:2020年1月24日(金) 9時23分
偉そうに、理想機能から考えろと言ってきましたが、理想機能を考えることは科学的思考の技術者には困難な作業だと思います。私の原点が科学的思考でしたから、問題が起きてからの解析的分析的な原因追求型の発想が原点にあったのです。田口先生に「原さんはいつまでたっても技術者ですね」と言われていたのです。演繹的な考え方は必要ですが、帰納法的やアブダクション思考が新しいアイディアのものづくりには必要ですが、解析的、分析的教育を受けた私のような技術者にとっては、理想機能からの発想は困難だと思いました。ゴルフスイングの練習でも、欧米ではグリン上のパターから考えるのに対して、日本ではドライバーやアイアンの練習から始めるように全く異なるのです。目的は何かを考えて理想機能を考えることが大切だということですね。


6155.Re: 基本機能の「理想機能」の誤解と反省
名前:KAZZ@管理人    日付:2020年1月24日(金) 23時1分
中部品質管理協会で田口先生の指導を受けていた時、「理想機能ってなんですか」と何回も質問したことがありますが、先生は黒板に「y=βM」と書かれてそれ以外の説明がなかったのです。
それは「自分で考えよ」ということだったのですが、毎回指導に来られるときには、新しいことはあまりおっしゃらなかったのです。
事例で説明されるときに理解するしかなかったのです。

最初は計測器の誤差の評価で動特性の理想機能を考えるときには、真値は不明だから真値の誤差をSN比で評価されたのです。

技術的問題では4端子回路網のトランスジュウサーでは、機械系を電気系に変換する発電機や電気系を機械系に変換するモータなどは、入出力のエネルギー変換を理想機能と考えればよいのです。

6148.品質工学と曼荼羅 返信  引用 
名前:KAZZ@管理人    日付:2020年1月16日(木) 9時23分
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1月11日の関西品質工学研究会の新春記念講演で、スレッド6144の品質工学に出会うまでのモノづくりとその後の技術的思考の開発研究について講演しますが、その中で、仏教の世界の曼荼羅の大日如来と理想機能は全く同じであると考えている。
理想機能からのずれを考えてパラメータ設計を行うノイズに鈍感なSN比の世界は素晴らしい手法である。



6149.Re: 品質工学と曼荼羅
名前:のっぽ    日付:2020年1月12日(日) 17時3分
Kazzさん
 ご無沙汰しております。曼荼羅の件は以前にも聞いたような気がします。その時は、よく理解できなかったですが・・・
最近読んだ本から考えていることを書きます。その本では自然科学の考え方を、一神教と多神教にたとえていました。一本道の因果関係を追究する古典物理学の考え方を一神教、古典的な考え方では理解できなくなって出てきた量子物理学の考え方を多神教としているのです。このとらえ方は、最近の自然科学の方法論が、理論を積み上げていく古典的な考え方から全体をシステムで考える方法論へ変化していることに対応しているようです。
仏教は多神教の代表的宗教ですが、執着を捨てることを説いています。執着を捨てる教えは、原因追及などの理屈に執着しないことや、目に見える品質項目などに執着しないことになり、それは世界を全体でとらえること、つまりKazzさんの言っている品質工学と曼荼羅に通じるような気がします。
このように考えればいいのでしょうか。


6150.Re: 品質工学と曼荼羅
名前:KAZZ@管理人    日付:2020年1月12日(日) 17時58分
のっぽさん
新年おめでとうございます。
私が曼荼羅の世界に興味を持ちましたのは品質工学の考え方に共感したからですが、世界は全く違った方向に動いていることが残念だと考えています。
自分中心で、相手のことは二の次ですね。もぐらたたきの問題解決が当たり前で、問題が起きてからあるべき姿を考えることが普通になっていますね。SN比でも理想機能は無限大ですから到達することは不可能ですが、少しでも理想機能に近づけるよう技術者は努力すべきですね。
私は最近、菩提寺の住職と相談して戒名を作りました。その時、住職から浄土宗の住職の集まる会で講演を頼まれましたが、品質工学の考え方はすべての世界で共通した当たり前のものだと痛感しました。。


6151.Re: 品質工学と曼荼羅
名前:のっぽ    日付:2020年1月12日(日) 18時10分
Kazzさん
昨日の新春講演の反響はいかがでしたか。大日如来と理想機能…聴衆に伝わったでしょうか。興味があります。
昨年有名になった「ワンチーム」も通じるところがあるように思います。自分中心でなく、全体を俯瞰する視点という意味で。
長谷部光雄


6152.Re: 品質工学と曼荼羅
名前:KAZZ@管理人    日付:2020年1月12日(日) 18時22分
のっぽさん
多少は興味を持ったでしょうが、具体的に聞いていませんが反響はありません。
私の説明不足だと思いますが、若者には興味がないことでしょうね。

相田みつをさんの「一生感動一生青春」の書で「感動」しても感ずるだけで行動に移さなければ駄目だ。と言いましたが分かってもらえたかどうか期待できませんね。

6144.科学的思考時代の思い出 返信  引用 
名前:KAZZ@管理人    日付:2019年12月8日(日) 16時20分
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松下電工で配属されたのは、技術部電気特別研究課で後に綜合研究所に改名された部署である。
電工の中では何をやってもよい部署だったことが幸いして、技術者冥利に尽きることができたのである。
どのテーマも日本初か世界一の性能を狙って性能を狙って開発を行った結果、市場に出荷してからトラブルを多発してもぐらたたきで問題を解決していたのである。
仕事のやり方は等価変換理論やアナログコンピュータを使い微分方程式を解いて、理論的な目標値にチューニングするやり方が主流を占めていたのである。フックの法則やオームの法則などの理論値を満足すれば満足していたのである。
すべて技術者が満足する思考で、お客の立場に立った開発研究ではなかったのである。再発防止型であるから、故障個所を直しても別の個所で問題が発生したのである。
そのために、何時何処でトラブルが起こるのか戦線恐慌の状態が続いていたのである。
詳細については1月11日の研究会でお話しします。


6143.品質工学シンポジウム2019inおおさか開催 返信  引用 
名前:KAZZ@管理人    日付:2019年10月9日(水) 16時52分
今回のシンポジウムのテーマは〜AI/IoTと品質工学の連携で社会問題/技術問題を解く〜ということで、初めて外部の講師を招いて活発な議論が行われた。
招待講師は国立情報研究所の石川冬樹准教授でAIの専門家である。参加した皆さんは品質工学研究会谷本会長や田口伸社長や各地の研究会のメンバーで活発な議論が行われた。

事例発表者は下記の順番に行われた。
1.単位空間を動的に生成することによる、機械設備・プラントの異常診断の精度向上」
蟹HI 茂木悠佑
MTシステムで設備を観察していると環境変化により単位空間が変わることがあるので環境ごとで単位空間を移動させて監視することを考えている。それを動的単位空間と考えて設備環境ごとで単位空間を移動させることを考えているとのことである。
システム自体がノイズ環境に弱いのであれば、システム自体のロバスト性を上げればよいのではないのだろうか。単位空間はシステムの理想状態で決めるのだから、単位空間が異なることの理解ができていない。

2.IoTの取り組みで分かってきた技術課題解決の難しさ
(株)エクセディ 薮田大輔
世界各地の工場で生産しているダンパーやトルクコンバータなどの品質や在庫管理を手動から電子化に置き換えて効率化を図っているが、いまだに技術課題の解決の難しさに直面している。

3.若い世代と品質工学を共有した30年ー日本大学非常勤講師を終えて
長谷川技術史事務所 長谷川良子

学生には紙コプタなどでパラメータ設計やMTシステムの教育を行ってきたが、ワシントン大学やいっとうこう
報道番組では、簡単に「異常診断して・・・」と流れてしまい、どうやって診断されているのかわか
らない。この授業で論理的に、しくみがわかり興味を持った。
• 本当に面白い話は、たとえ寝不足でも眠くならない。
• 就活でMT法のことを言ったら内定をいただけた。
• MTとIoTを活用すれば、すごいことができる!
• MT法を卒研に利用できそう。
卒研で衛星からの画像処理に利用しています。

4.基調講演
「AIによる品質・AIの品質」について国立情報学研究所 准教授石川冬樹の講演があった。
先生は「AIの品質」に絞って話をされたが、何を「100%」の基準にするか?性能の「精度」の難しさについては、品質を考えるべき対象として、Model RobustnessやSystem Qualityの大切さを強調されていたことは、MTシステムの考え方と共通している。

5.「人工知能の時代とMTシステム〜技術者はAIに職を奪われるのか〜」
アングルトライ(株)社長 手島昌一

1.MTシステムは人工知能か?
 JAXAの森田泰弘博士が、MTSを人工知能と呼びました。確かに使用目的はいわゆる人工知能と同じですが、計算プロセスには決定的な相違があります。人工知能の多くはデータマイニング(機械学習)と呼ばれる通り、機械が学習する。人間が文字を覚えるのと同じで、計算機が繰り返しによってパターンを学習する。ホーキング博士は人工知能が際限なく自己増殖して、やがては世界を破滅させると警告している。それは繰り返し計算で成長するという、増殖の素養を持っているからである。
 しかし、MTシステムは繰り返し計算をしない。MTシステムは人類に破滅をもたらすことなく、いつまでも人間に必要で安定な相棒であり続けるはずである。
2.AI(人工知能)の面白さと危うさ
 繰り返し計算で次第にパターンを学習する人工知能は、人間と同じように学習過程や結果に個性を持つことになる。物覚えが悪くなかなか学習が進まないのに、いったん学習したらしっかりと判定する知能もあれば、学習は早いけれども早とちりしがちな知能もある。学習が乱数に基づくことや、知能に与えるパラメータによって出来上がる脳みそが異なるからである。
 一方のMTシステムは一通りの数理ですから、結果に個性は生じないのである。誰が使っても基本的に同じ結果が出せる。
3.MTシステムは暴走しない人工知能
 暴走とは、制御不能に陥って滅茶苦茶をすることである。自己増殖型の人工知能は、「育ちなさい」というルールを与えるので、遠い将来には制御できない暴走を始める危険があるというのが、ホーキング博士などの心配の背景である。
 MTシステムは、パターン認識や監視機能という目的は人工知能と同じだが、暴走はしない。抑制の効いた品位を保っている。

イプシロンで MT はどんな役割を果たしたか
NASAの森田泰弘プロジェクトリーダーは人工知能(MT法)の役割について、次のように語っています。 「エンジニアから経験を抽出し、人工知能に教え込む。バルブの開閉などではモータに電気を流すが、電流の波形を形作るいくつかの特徴どうしの関係を見て、総合的に正常かどうかを判断する。医療の分野で言うと、心電図の診断を医者に代わって機械が行なっていることに相当する。 波形の特徴を個々に見
るだけではなく、「正常な場合にみられるはずの、波形を形作る特徴どうしの関係性」を人工知能に教えておき、人工知能は個々のデータのよし
あしではなく、いわば複数のデータどうしの関係性をみる。」

地震の予測は可能か?〜電子基準点情報を利用した巨大地震予測に関する研究〜
GPSを利用して、地面の動きを計測して地震を予測した研究で成果を上げた。
単位空間は自信のない期間をとり。地震リスクの少ない地点とリスク大の地点のマハラノビス距離をとって、移動単位空間の考え方で北海道地震の原因診断をした結果、地震発生の前のマハラノビス距離の異常で地震の予測に成功した。
しかし地震のような自然現象の予測は何を計測するかが今後の問題である。

6.「AI機械学習予測モデルのコンピュータ実験による量産プロセスの許容差設計」
ローム(株)山中貴光
製造ばらつきの改善にAI学習を取り入れたパラメータ設計と許容差設計を行っているが、商品開発段階のトラブルを製造段階においてパラメータ設計を行うことが間違った研究である。また、許容差設計の段階で機械学習の手法を使うことは間違っている。
目的ありきの研究が重要で手法が優先していることが問題である。しかも許容差設計に機械学習の手法を使うことも問題である。最近、開発段階における機能性評価やパラメータ設計がまともに行われていないため 、下流の製造段階でばらつき改善を行っている例が多いが、ノイズは製造ばらつきでなく、市場における環境条件や劣化を考えることが大切である。製造ばらつきもノイズの一つではあるが、改善効果は極めて低いのである。
コンピュータ実験であれば尚更のこと、制御因子の水準幅を大きく選んで制御因子の公差の水準もできるだけ大きくとって、制御因子との交互作用のSN比の改善でパラメータ設計を行い、許容差設計では最適水準の前後に±1.22σで品質特性のばらつきを求めることになる。最終的には寄与率の影響度を考えて、部品コストのバランスでスペックのばらつきを調整することになる。

7.パネルディスカッション
〜AI/IoTと品質工学の連携で社会問題・技術問題を解く〜
(パネラー)石川、手島、加藤 (司会)鐡見
鐡見会長の司会で、高度な議論が戦わされたことは大変有意義であった。内容は省略するが、機械学習によるパター認識と品質工学による理想状態などの単位空間からのMDによる認識診断や予測の考え方には、発想の原点が異なるのだから独自の判断で成長させることが大切だと考えている。問題や課題を解くにはどちらが効率的かを考えて行えばよいと考えている。

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