ある種のFAQのような気はしますが……. (以下の回答は個人的な雑感なのであまりまとまっていません) @: それはある種の記号の濫用 (abuse of notation; 意味のオーバーライド) が慣用的に用いられているため, その表記をし続ける限り見た目だけからは区別できません, 文脈によります (というか, 誤解の虞があるので区別できるように書いた文脈でないと安易に使えない). # 誤解されかねなくても記号の濫用を用いるのは, やたらに文字を使いすぎて議論の途中で # 文字が足らなくなるのを避けたいとかそういうことがわりとポピュラーな理由です. ## 思えば, 変数 x に函数 x(a,t) を代入する (とくに代入した函数を引数省略して単に x と書く) などというのも ## 記号の濫用だけど, 使用する文字を増やさずに別モノを代入できるうえに何をどこに代入するか直観的に理解しやすい.
前者は, 一般には, もとの引数と変換後の引数の間に何らの関係式も成立しないような場合, たとえば f(x,a,t)=f(x(u,v),a(u,v),t(u,v)) という一般の設定のときの ∂f/∂u を想定した状態で, たまたま a(u,v)=a, t(u,v)=t (その意味で u=a, v=t, x(u,v)=x(a,t)) となる場合に ∂f/∂t:=∂f/∂v と言っているというような話になっているので, 第 1-引数 x, 第 2-引数 a, 第 3-引数 t として f の第 i-引数に関する f の偏微分を ∂f_i(x,a,t) (i=1,2,3), つまり ∂f/∂t =: ∂f_3 のように書けばある程度安心して計算できるのではないでしょうか.
後者は本来 g(a,t):=f(x(a,t),a,t) として定義される 2-引数函数 g について述べている (そのうえで ∂f/∂t:=∂g/∂t としている) のだから, g に置き直して ∂g/∂a=g_a, ∂g/∂t=g_t を考えるとすればおそらく誤解されずにすむでしょう.
A: は自明な代入 x=x(x,a,t):=x,a=a(x,a,t):=a,t=t(x,a,t):=t (これも記号の濫用が酷いからよくわからんな^^;; 3-変数 x,a,t を引数とする函数として第 i-引数への射影 π_i を考えるとき, x=π_1(x,a,t), a=π_2(x,a,t), t=π_3(x,a,t) として代入するという意味) を考えればその区別に意味がないことがわかります. @で f のもともとの引数に関する微分か代入後の引数に関する微分かを区別できている, あるいは f と g (名無しさんの記号で f∘φ) の区別をしているのであれば, それぞれの意味で全微分を書くことができるはずだと思います.
厳密な書き分けについては, 個人のかたのブログ (ブログ主は計算機寄りの人っぽい) ですが檜山正幸のキマイラ飼育記: 微分計算、ラムダ計算、型推論 あたりを, また, 本質問に関連する内容と思われる記事として同ブログの 微分幾何におけるヤコビ行列の書き方: 因習の擁護, 古典的微分幾何・ベクトル解析のモダン化: 因習的微分幾何とその構造 など (ほかにも参考になる記事はあるかも) も参照してみてください.
125-8-214-202.rev.home.ne.jp (125.8.214.202)
Mozilla/5.0 (Windows NT 10.0; Win64; x64; rv:78.0) Gecko/20100101 Firefox/78.0
|
|