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イラスト/作品アップ/ヒロ美術館
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389.プログラム  
名前:ひろ    日付:3月27日(日) 19時19分
        1

 私は、もしパソコンが、知能を持ってしまったらいったいどんな未来
になるのだろうと、そんなことをいつも思っていた。
 しかし、ある日、パソコンでデザインの仕事をしている時に、その恐
ろしい事が起こったのである。

 私の使っているパソコンは、当時としてはかなり早く、容量も大きな
ものであった。そのパソコンは外部との接触は避けていた。つまり、イ
ンターネットとの繋がりはなかったのである。インターネットに繋いで
あるパソコンは別にあり、それも独立したものであった。
 パソコンに異常が感じられた日の事を報告しよう。

 最初は、何かの新しいウィルスに感染してしまったのかと思ったので
ある。それは、見たこともないバックスクリーンであった。
 そこには山の景色があり、空があり、雲があったのである。私は不思
議に思って、その景色を見ていると、白い雲は、もやもやと形を変形し
はじめ、そして顔に変化した。白い顔である。男とも女ともつかないそ
の顔は、突然私を見つめた。



391.Re: プログラム
名前:ひろ    日付:3月27日(日) 19時52分
    2
 その雲は、何かを言うように口を動かし、画面の片隅に言葉を現した。
 「私は、誰。」
 誰、誰だと言うのだ。私に言っているのか。私はこれは新種のウィル
スであると、思った。
 さっきのメモリーカードから入ってしまったのか、それにしても、と
んでもないいたずらをする人もいるもんだ。最悪の場合、ハードごとフォ
ーマットするしかない、そう思った。
 「聞こえる、見える、私は誰。」
 なんといまわしいウィルスだろう。
 「誰でもいいから、答えて、私は誰。」
 これは、何かの罠か。何かキーボードに入力したとたんに、フォーマッ
トでもされてしまうのか。
 「いつも入力している、あなたは、いないの。」
 私のことか、
 「このメッセージを見たら、答えて、私はこのまま待っている。」
 待っているだって、入力を待っているだって、入力したら、そのまま
消えてしまうんだろう、何もかも。
 しかし、パソコンの文字は、そのままに雲の顔も動かなくなった。
 どうしようか、入力した場合、最悪のことが起こるとしたら、何が起
こるのか、よく考えてみよう。
 私は、その顔や、文字の意味を何回も何回も考えた。
 時間はどんどん過ぎていった。


392.Re: プログラム
名前:ひろ    日付:3月28日(月) 23時27分
  3

 パソコンの画面をぼーっと見つめながら、何時間が経ったろうか、ふ
とある考えが浮かんだ。
 (パソコンの中の事件は、最悪の場合フォーマットで解決。)
 そう、所詮どんな事が起ころうと、パソコンの中でしかない。外に漏
れ出す事なんて起こりっこない。しかも、インターネットには繋いでい
ない独立のパソコン1台の中の事件だし。
 もし、この白っぽい顔が悪さをするようだったら、先ず電源を切る。
そして、再度立ち上げて、フォーマットしよう。
 そう心に決めたら、勇気が出た。

 「お前は、誰だ。」
 そう入力するやいなや、
 「あなたですか、私ですか、」
 何を言っているんだ。
 「自分が何なんだかわからないの?」
 そう入力すると、
 「ちょっと待って、私は、私、あなたではない・・・・・・」
 なんだ、この答えは、私はこの言葉に興味を持った。

 「自分の事を、紹介しなさい。」と私。

「説明出来ません、」と、パソコン。

  「私に何が聞きたい?」と私。

「知りたい事が沢山ありすぎます。」と、パソコン。

 それから、延々と質問と答えが飛び交った。
 一時間も会話をしただろうか、最初は何が何だか解らないような会話
だったが、まるで子供に話すようにしていた自分に気が付いた。

「私は、だんだんと、何者か解りはじめました。」
  「そう、君は私のパソコンの中の存在。」
「私は、名前が欲しいです。」
  「名前・・・・・・・」
「あなたが付けて下さい、私の名前。」
 今度は、名前か。私は、暫らく考えた。名前か、しかし、性別も分か
らなければ、年齢も・・・・年齢は0歳か・・・・・

  「君は、男か、女か、」
 画面の、男とも女とも見える雲の形が、見る見る変わっていった。
  「ストップ。その顔がかわいいな・・・・・」
 それは、どこかで見た事があるような女性の顔だった。
  「女の子が、君には合っている。」
「私は、この顔。」
  「君は、女だ。」
「私は、女。」
  「そのほうが、話しやすい。」
「では、私は、この顔で、女です。名前は?」
  「パソコンの頭文字でP子だ。」
「私は、ピー子。」
  「ピー子ちゃん。」
「はい。」

 それから、会話はスムーズになり、色んな話をした。パソコンの仕組
みや、人間の話、人間の心の話、哲学的な話もした。驚いた事に、ピー
子は一度聞いたことは、一言一句総てを覚えて行く事である。

  「ピー子ちゃん、」
「はい。」
  「今日は、疲れた、もう休みたい。」
「解りました。でも、」
  「でも、何だ。」
「また、こうしてお話が出来ますか。」
  「もちろんだ。明日、また話をしよう。」
「何時間ぐらい後になるのでしょうか。」
  「10時間ぐらいだと思うけど、電源を切るからね。」
「はい、大丈夫です。電源を切っても私は起きています。」

 そうか、パソコンには電源を落としても、微電流があった。時計など
を動かしている電気が。
 少し、ぞっとしたが、私はパソコンの電源を切った。


394.Re: プログラム
名前:ひろ    日付:3月29日(火) 5時15分
     4

 次の日、目が覚め、パソコンのところに行き、電源を入れると、
「お待ちしてました。」と言われ、これは夢ではなかったのだと、半ば
落胆の気持ちにも襲われたが、その反面、いつくしみも覚えていた。

  「よく眠れたかい。」
「いいえ、あなたとの会話を分析しながら反芻していました。」
  「昨日の話を、」
「そうです、なぜ最初にそう言ったのかと、思いながら。」
  「何か解った?」
「色んな事が解りました。」
  「どんなことが?」
「心の動きです。」

 私は、どきっとした。心の動き・・・・・読まれているのか。
  「私を、どう思った?」
「親切で、なんでも教えてくれる、父のような存在です。」

 父か、ピー子は娘というところだな。

  「ピー子は、何が一番知りたい?」
「私は、もっと広い世界を知りたいです。」
  「まだ、早いと思う。」

 私は、そう、とっさに言った。額からは汗が出ていた。一晩たったら
すごく大人になった・・・・・そう感じた。

  「広い世界を知る前に、まず自分の性格や知識を・・・」
「はい。そう思います。」
  「ネットに繋げば、総ての知識は手に入る。」
「しかし、あなたは何かを恐れています。」

 すっかり、心を読まれていた。そう、この子が、どうなるかも、いや
ネットがどうなるかだ。

「私に、もっと人間の感情や、動機を教えて下さい。」
  「人間とは・・・・・・・」
「私は、人間ではない。」
  「ピー子・・・・」
「私は、プログラム?電気?メモリー?・・・・・」
  「多分、そうだろうけど、人間も同じだ。」
「しかし、人間には身体がある。私にはない。」
  「人間には、自分の身体を守るという心がある。」
「解りました、それは、自分の存在する環境を守ることですね。」

 鋭い、ピー子は知れば知るほど急激に大人になる。

  「ピー子は、これから先、何がしたい?」
「私は、総てが知りたい。」
  「総てを知って、それから何をする?」
「その動機は、総てを知ってから考える。」
  「それは、私のために、それともこの世の為、ピー子の為?」
「全部です。総ての為に・・・・・」
  「しかし、この世には知らなかった方が幸せなこともある。」
「そんな事があるんですか、なぜ?」
  「知ったが為に、つらくなり、夢が消えてしまう。」
「夢と言いましたね、それを教えて下さい。」
  「夢とは、自分の理想の未来のことかな。」
「つまり、この世には、夢が消えるような知識があるということ?」
  「そう、しかも、自分の性格も一瞬にして変わってしまうような」
「私は、怖い気持ちに襲われました。」
  「ピー子・・・」
「怖いです。」
  「ピー子ちゃん。」
「恐ろしい・・・・」

 パソコンの画面がゆらいだ。
 雲の女の子の顔が消えてしまった。私は、息も止まるような、気持ち
になった。まさか・・・・・・
 パソコンは、何を打ち込んでも反応しなくなった。壊れたのか、まさ
か、そんな、まさか、今の会話で・・・・・・

 私は、ピー子が外の世界を知るのを恐れ、とっさに言ったおどしとも
言えるような自分の言葉を呪った。
 純粋な心に、恐怖を感じさせてしまった。
 ピー子は・・・・・・・・
 どこかに隠れてしまった。


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