首題の言葉は松下電工の元社長に10年前に飲み会の席で言われた言葉である。品質工学を指導していると機能性評価とかSN比か損失関数など一般には理解されない用語が乱立して分かりにくいため、狭い範囲の技術手段としか考えていないのではないかと推察する。 しかも「モグラたたきをなくすには基本機能を考えろ」と言われるとますます視野の狭い話だと錯覚されるのだと思う。田口ものこと語録は世の中の実態と180度思考が異なるため、無理からぬことだと考えている。 田口先生が統計学者と衝突したのも理解できる話だと考えられる。 米国自動車の殿堂入りされたときも、NHKの朝の7時30分のインタビューで「もぐらたたきをなくすのは、基本機能である」と言われたことに対してアナウサーは難しいと感想を述べていた。僅か8分しか報道されなかったのも日本人の品質工学に対する理解度の低さを感じるのである。 基本機能を改善すれば、品質特性や燃費や騒音や公害などが減るので失業者は減り、技術者は新しい仕事に向けられて自由度が拡大するのである。 基本機能とはモノコトの世界だけでなく、政治経済でもあるべき姿を目指すことで、視野の広い言葉で仕事の原点を考えることである。 「機能性」とは世間では機能がたくさんあることであるが、品質工学では、機能が安定であること「ロバストネス」のことである。
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