カントが提唱した純粋理性批判の哲学は我々が学んだ「究極の心理」であるが、自然科学の世界の因果律を説明するには当たり前の哲学であると信じてきた。そこでは、1+1=2以外に答えはないのである。田口玄一は1+1=2はだれにも共通する考え方であるから普遍性があるが、世の中に出たらこの共通性は存在せず、答えは無数に存在すると考えた。 田口は1+1=2は正しく普遍的な考えであるが、モノづくりの世界では理想機能であり、この理想に近づけるために、最適な答えを求めるのが技術者の役割であると考えられた。しかも、道徳的に考えて社会的損実の最小化を考えた。実にへそ曲がりの哲学であるが、この考えに到達するには相当苦労されたはずである。
ヒュームという哲学者は「因果律」への批判を持っていた。しかし、因果律を前提にしなければ科学は成り立たないのです。ヒュームは因果律は自然に備わったものではないと主張していました。昨日の自分と今日の自分が同一であるというのは習慣的信念に過ぎないといっていました。
カントは科学がすべてを説明してくれるという錯覚や、人間がAIで考える必要が早晩なくなるという風説はなくなると考える。 「知恵」は決して自然科学だけでは生まれないことは田口玄一と共通している。
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