「そうか、もう君はいないのか」 城山三郎著(新潮社) 定価:本体1200円(税別)
作家・城山三郎氏が、妻の容子さんへの思いをつづっている。 出会い、共に暮らした日々、癌との闘い、死・別れ。
遺稿のため、本人による仕上げの手が入っていないのだろう。ところどころ、書きっぱなしのような表現がある。 しかし妻への思いは、題名の「そうか、もう君はいないのか」に凝縮されている。
二人の出会いは学生時代、名古屋公衆図書館の前だった。 しかし、偶然の出会いも妻の父親に引き裂かれる。
大学を卒業し社会人となって、奇跡的な再会を果たし・・・。
このように愛された容子さんは、本当に幸せだったろう。 そして、氏の喪失感。
巻末に次女・井上紀子さんが、『父が遺してくれたもの−最後の「黄金の日々」』に、父と母の生活と思いを書いている。
この巻末を読んでから、本文を読み返すと、書きっぱなしだからこその思いが、いっそう切々と伝わってくる。
最後に、氏が引用していたイタリアの経済学者パレードが好んだ言葉。
「静かに行く者は健やかに行く 健やかに行く者は遠くまで行く」
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